六甲颪
六甲山のふもと、震災の後建てられた外壁アスロックの建物の漏水調査、および修繕工事を依頼された。
防水屋の第一感として、原因は上の写真の円で囲んだ部分。
「漏る時と漏らない時がある。漏れば非常にたくさん漏水する場合がある。ということから、上部にある樋の”ある高さ”まで多量の降雨があった場合(ゲリラ豪雨)樋上部に欠陥があり、その部分から、と仮説を立てたが 点検の結果 不具合はなかった。
照明器具の取り付けについては電気屋さんが丁寧に施工してくれているはず、目地のシールに関してはアスロックの工事店が責任をもってやり替えてくださった。(どちらも、最近の工事)との経過報告。 暗礁に乗り上げた。
この年は 秋も深まったというのに大きな台風が上陸した。当然のように漏水した。
翌日 オーナーと現場に立ち会った。オーナーが天井裏の漏水箇所に首を突っ込んで言った。
「アレ?風が来てる!」
その時 誰かが玄関の戸を開けた。
オーナーが叫んだ。「風が強くなった。」
オーナーの大ファインプレイだった。
最初に聞いた説明を思い出した。この建物は アスロックの目地のシールは外部だけだったのだ。
外は 六甲颪が吹き始めていた。